強迫性障害
強迫性障害（OCD）とは
強迫性障害とは、強い不安やこだわりによって日常に支障が出る病気です。
無意味で不合理だと自分でもわかっている考えや行動を、自分の意に反して何度も繰り返してしまいます。それを不快に感じつつ時間を浪費してしまい、日常生活に支障をきたすこともあります。不安障害の一種とも考えられています。
強迫性障害の症状
強迫性障害の症状は、以下の2つに大きく分けられます。
強迫観念（強迫思考）
自分の意志とは無関係に、何かの考えが、反復的・持続的に浮かんでしまい、打ち消すことができず、そのことに苦痛を感じる。
強迫行為（強迫的儀式）
強迫観念を打ち消すために、不合理な行動を、わかっていても何度も繰り返してしまう。
また、強迫性障害の具体的な症状には、以下のようなものがあります。
(1) 不潔恐怖、手洗い恐怖
周囲を汚く感じてしまい、物に触ることができなかったり、触ってしまって何度も手を洗わないと気が済まなくなってしまう状態を言います。何度も手洗いを繰り返して、手がボロボロになってしまうこともあります。
(2) 確認癖
電灯を消したか、ガスの元栓を閉めたか、玄関の鍵を閉めたかなど、心配になってしまい何度も確認する状態を言います。ひどい場合には、外出しても気になって家に戻ってきてしまったり、不安で眠ることができなくなったりします。
(3) 疾病恐怖
自分が重い病気にかかったのではないか、何かに感染したのではないかと、過剰に心配してしまう状態を言います。検査を受けて異常なしという結果が来ても安心できず、何度も病院を受診してしまったりします。
これらは代表的な症状ですが、強迫性障害の症状には個人差があります。
重要なのは、患者さま本人が考えや行動を、自分の力だけでは打ち消せず、ひどく困っている状態であることです。症状が進むと、日常生活も送ることができなくなります。
強迫性障害は、ストレスによる影響も見られ、うつ病や他の不安障害、統合失調症などが併発するケースも多々あります。
適応障害
適応障害とは
適応障害とは「何らかのストレス要因によって引き起こされる情緒面や行動面のストレス症状によって、社会的機能に著しい問題が起きている状態」とされています。つまり、ストレスの原因がはっきりしていて、情緒面や行動面で症状が見られるのが適応障害の特徴です。
環境の変化など何らかの影響でストレスを受けることで、我慢の限界を超えてしまったとき、心身に何らかの症状が出てしまう（体調不良、異常行動）という形で発症します。
新入生や新入社員として新しい環境に移ったり、環境が同じでも立場が変わってプレッシャーが増したり、別離や事件などの大きな出来事がきっかけになりやすいです。
また、適応障害の症状も原因も人それぞれです。環境によってストレスが増した、本人がストレスに弱い状態に陥っている、家庭や学校でのサポートが必要な分に足りていない、など様々な状況が考えられます。
適応障害の症状
適応障害は様々な症状が出ますが、大きく分けると4つの特徴が見られます。
(1) 体調不良
会社に行こうとすると頭痛や腹痛が起こったり、特に心当たりがないのに腰や背中が痛くなったりするなどの症状がでます。
(2) うつ的な症状
気持ちの変化として症状が現れます。普段は気にならない些細なことを悲観的に捉えてしまったり、極度に憂鬱になったり、喪失感をもったり、泣き出してしまうなどが例として挙げられます。
(3) 過度な不安
過剰に不安になって、恐怖を感じ、それが動悸や息切れにつながるといった症状が見られます。
(4) 異常行動
職場や学校での態度が通常から逸脱したり、無断欠席や無断欠勤を続けたり、過剰に飲酒をしたり、喧嘩したり、危険運転を行うなど、従来の行動とは違った行動に出ることがあります。
これら適応障害の症状は、受けているストレスや環境、本人の性格などによって現れ方が違ってきます。また、大まかな部類ですので、人によってはここからさらに様々な症状が出ることもあります。
ただ、適応障害は、現在の環境を変えたり、本人が心を切り替えられたり、周囲のサポートによって比較的早めに改善されることが多い病気です。逆に、適応障害から症状が進み、何らかの精神障害などを発症することもありえます。自分自身、または周囲の人に異常を感じたら、状況や原因を探って早めに対策をしていくことが大切です。
適応障害の治療方法
一番の治療はストレスから遠ざかることです。仕事が原因の場合は、状況によっては休職をすすめたり、勤務内容の見直しが必要であるという旨の診断書を発行する場合があります。抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬、漢方などをすすめる場合もあります。
あまね
