統合失調症・認知症

統合失調症

統合失調症とは

統合失調症

およそ100人に1人がなるといわれており、比較的身近な疾患です。統合失調症の原因はまだわかっていませんが、統合失調症になりやすい要因を持った人に進学や就職、結婚など環境の変化や人間関係の大きなストレスや緊張が発症のきっかけになるのではないかと考えられています。統合失調症になると、この後に記載するような、幻覚、被害妄想、考えのまとまらなさなどの症状が出現します。

統合失調症の症状

統合失調症の症状

統合失調症の症状には陽性症状、陰性症状、認知機能障害があります。症状は様々で、実際に現れる症状や時期は一人ひとり異なります。

□陽性症状
陽性症状とは、実際に起こっていないものを患者さま本人のみが体験する幻覚、妄想、思考の障害などの症状のことをいいます。 幻覚の症状としては、周囲に誰もいないのにご本人を批判したり脅したりするような声が聞こえていたり、頭の中で複数の人が会話したりするような幻聴、存在しないものが見える幻視などがあります。 妄想とは、現実には起こりえないことを信じ込んでしまう状態のことです。妄想の症状としては、誰かに監視されている、誰かに悪口を言われている、いやがらせを受けているというような被害妄想が多く、テレビやインターネットに自分のことが流されているなど関係妄想を訴えることがあります。 思考の障害とは、考えや行動にまとまりがなくなることです。考えをまとめることができず、めちゃくちゃな会話をしてしまったり、状況に合わないちぐはぐな行動を起こしたりします。

□陰性症状
陰性症状には意欲や自発性の低下、あるいは感情表現が乏しくなるなどの症状があります。意欲の減退、喜怒哀楽などの生き生きとした感情表現が乏しくなります。友人付き合いをしなくなり、家に引きこもるようになったりします。そのほかに、入浴や着替えをしなくなり、見た目を気にしなくなるといった症状が現れます。

□認知機能障害
認知機能障害とは集中力や記憶力が低下し、物事をうまく処理できなくなることをいいます。 統合失調症ではこのような障害が現れ、学業や仕事、人間関係など生活全般に影響が及びます。

統合失調症の治療法

薬物療法

統合失調症の治療は、時期によって異なります。幻覚、被害妄想が出ている時期には本人が幻覚や妄想を訴えてもそれを否定せず、休養、薬物治療に専念してもらいます。服薬を中断した場合の統合失調症の再発率は1年で80%と言われており、休養や薬物治療で幻覚や妄想が落ち着いてきたら薬を自己判断で中止しないようにご本人に統合失調症であることを伝えたり疾患の特徴を説明したりと服薬の自己中断を防ぐ工夫をしていきます。陰性症状に対しては社会機能訓練が有効なので、幻覚や妄想が落ち着いてきたら、外出を促したり、デイケア、作業所への通所をすすめることがあります。

認知症

認知症とは

認知症

認知症は、脳の細胞が死滅したり、脳の働きが悪化したりすることで発症します。脳の働きが悪化する場所によってさまざまな症状が出現します。脳がこのような状態に陥ると、日常生活を送る上で困難な障害が生じます。65歳以上になると約5人に1人が認知症になるといわれており、比較的身近な疾患です。

認知症の症状

認知症の症状

認知症はおおまかに分けるとアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症に分けられます。ほかにも頻度は低いのですが、嗜銀顆粒性認知症、神経原線維変化型老年期認知症などもあります。慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、てんかんなど、認知症の症状が出ていても専門的な治療で治るものも隠れています。

(1) アルツハイマー型認知症

認知症の中で最も多く、約半分くらいの認知症がアルツハイマー型認知症と言われています。朝の食事の内容など直近の出来事を忘れるといった、近時記憶の障害から症状が出現することが多いです。昔の記憶などは比較的保たれることが多いです。

多くは8~10年くらいかけてゆっくり症状が進行し、進行すると日付や場所がわからなくなる見当識障害、仕事や家事を順序だててやることが難しくなる遂行機能障害、買い物へ行き、帰り道がわからなくなるなど視空間認知機能の障害が出現することがあります。周りの人などに身の回りの物を盗まれるという強い思い込みが出現するものとられ妄想を認めることもあります。

・アルツハイマー型認知症の治療

現時点では完治する治療はありませんが、治療により進行を遅らせることができます。生活面では、定期的に運動の習慣を取り入れたり、人と会話する機会を増やしたりと、脳に刺激を与えるような生活を心がけることが効果的と言われております。デイサービスに通い、生活習慣を整えることも大切です。進行を抑えるような薬もあります。

(2) 脳血管性認知症

脳血管性認知症は認知症のうちの20%と言われており、アルツハイマー型認知症の次に多い認知症です。脳梗塞など脳の血流障害の場所によって症状が出現するものです。血流障害の場所によって症状の出方が異なり、特徴的な症状としては、感情をコントロールできず、急に泣き出すといった感情失禁があったり、1日の中で症状の変動が激しかったり、障害の受けていない部分は正常に機能するなどまだらに症状が出現したり、自分自身で症状を自覚していたり、手足の運動の障害、しゃべりづらさを認めるようになったなどの症状が出ることがあります。

脳血管性認知症の治療

脳血管性認知症の治療は、原因となっている脳梗塞の治療や、高血圧、高脂血症、糖尿病などの脳梗塞のリスクが高くなる疾患の治療を専門的に行う必要があるため、場合によっては内科受診をすすめることがあります。アルツハイマー型認知症に使うような認知症の進行を抑える薬も有効であることもあるため、使用する場合もあります。

(3) レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は認知症のうちの20%をしめるといわれており、記憶の障害、場所や時間がわからなくなる見当識障害のほかに、幻覚が見えたり、身体が思うように動かなくなったり、目が見えづらくなったり、落ち込みの症状が出現したり、立ち眩みなどの自律神経の障害が出たりします。

レビー小体型認知症の治療

レビー小体型認知症の治療は、その出現する症状に応じて治療していきます。記憶の障害、見当識の障害が目立つ場合は認知症治療薬による治療を行ったり、自律神経の障害で血圧が低くなることが多くなった場合は昇圧剤の治療を行ったり、幻覚が目立つ場合は幻覚を抑える薬による治療を行います。アルツハイマー型認知症と同じく、日中の刺激を増やす生活習慣を意識することが大事です。

(4) 前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症は認知症のうちの10%をしめるといわれており、記憶の障害、見当識の障害はあまり目立ちません。怒りっぽくなるなど自分自身の行動に抑えがきかなくなったり、毎日同じコースを散歩するなど同じ行動を繰り返したり、万引き・身だしなみに無頓着になるなど社会性がなくなったり、言葉の意味が分からなくなる・相手の言葉にオウム返しするなどの失語症といった症状が出現します。

前頭側頭型認知症の治療

怒りを抑える薬や、常道行為に対しては、うつ病に使うようなSSRIという薬が有効とされています。万引きを防ぐためにポケットのついていないズボンを選ぶなど、どういう時に怒りっぽくなるのかを把握し、その状況を防ぐなど、ご本人の特性に合わせて接し方の工夫を行います。若年発症することが多かったり、有効な治療法が今のところなく、介護者の負担が多かったり、ご本人が社会的に孤立するなど、この疾患に関しての治療、支援はまだ課題が山積みです。

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